2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化コバルト担持金ナノ粒子の特性を利用した触媒的炭素骨格構築反応の開発
Project/Area Number |
21850023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜崎 昭行 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00515174)
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Keywords | 金ナノ粒子 / コバルトカルボニル / 代替触媒 |
Research Abstract |
本研究は、酸化コバルト担持金ナノ粒子の特性を利用し、未だ達成されていないニコラス反応の触媒反応化を目的として遂行した。平成23年度には、前年度に得られた「酸化物担持金ナノ粒子から発生するコバルト活性種が、アルキン化合物と複合体を形成する」という基礎的知見発展させ、実際に触媒的ニコラス反応への展開を試みた。しかしながら種々反応条件の検討(ルイス酸、求核剤、反応温度、反応時間など)を行ったが、目的とするプロパルギル位での置換反応が良好に進行する条件を見出すには至らなかった。 触媒的ニコラス反応の開発と同時に、関連研究として「酸化物担持金ナノ粒子から発生するコバルト活性種をコバルトカルボニルの代替として用いる反応」について検討を行っていたが、こちらについては大きな進展があった。具体的には、酸化物担持金ナノ粒子(Au/Co_3O_4)を一酸化炭素および水素から成る合成ガス雰囲気下で処理することでコバルトカルボニル類似の活性種を発生させ、ポーソン-カーン反応やエポキシドのアルコキシカルボニル化反応に適用することに成功した。これらの反応は古くからコバルトカルボニルが触媒する反応として知られているが、コバルトカルボニルは不安定であり、使用前に精製操作が必要となることがままある。それに対しAu/Co_3O_4を用いる場合には、簡便な操作で反応系中において新鮮な反応活性種を発生させることができるため、円滑に目的反応が進行する。この研究成果は論文としてまとめ、学術雑誌に投稿中である。 以上のように、触媒的ニコラス反応の開発については、当初の研究戦略では良好に進行させることができなかったが、関連研究を含めて総合的に考えると、一定の成果を達成できたと言える。
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