2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21860004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 広和 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 助教 (30545968)
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Keywords | セルロース / 酸素酸化 / グルコン酸 / ギ酸 / 白金 / バナジウム |
Research Abstract |
今年度は、セルロースの酸化反応によるカルボン酸の合成を検討した。まず担持金属触媒を用いてセルロースの部分酸化を試みた。セルロースの加水分解に有効なアルミナ担持ルテニウム触媒と酸化反応を促進すると考えられた炭素担持白金触媒を組み合わせることにより、グルコン酸を収率6%で得た。僅かではあるものの、確かにグルコン酸を合成できることを明らかにした。グルコースが収率12%で副生しており、さらに酸化条件を適切化すればグルコン酸の収率を高められることが期待できる。 次に、炭素触媒によるセルロースの酸化反応を実施した。グルコン酸の収率は僅か2%であったが、グルコースが収率28%と良好な収率で生成した。酸化反応条件を適用することにより、セルロースの加水分解反応が進行することが分かった。詳細な機構は未解明であるが、強固な構造のため加水分解を受けにくいセルロースの一部を酸化開裂させることにより、構造が乱れ加水分解反応を受けやすくなっている可能性が考えられる。 最後に酸素分子活性化能を持つバナジウムオキシアセチルアセトナート触媒によるセルロース酸化反応を試みた。空気加圧下、触媒0.18mmolとセルロース2mmolとを水中で反応させたところ、ギ酸が3.1mmol(炭素基準の収率26%)および少量の酢酸が生成した。セルロースから低級カルボン酸を効率良く合成できる可能性を示唆している。ギ酸は、飼料の添加剤として用いられるほか、燃料電池用の燃料などとして用途拡大が見込まれ、また酢酸は溶媒などの原料として年間約500万トン需要がある。従って、セルロースからこれらカルボン酸を合成できれば意義深いと考えられる。
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Research Products
(7 results)