2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21860004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 広和 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教 (30545968)
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Keywords | 硫酸化ジルコニア / メソポーラスジルコニアシリカ / 固体触媒 / アクロレイン / グリセリン |
Research Abstract |
昨年度は、担持金属触媒や均一系バナジウム触媒によりセルロースを酸化すると、ギ酸などのカルボン酸を合成できること、ならびに空気加圧下において酸触媒反応であるセルロースの加水分解が促進されることを明らかにした。そこで本年度は、セルロースと同様にヒドロキシ基を多数持つバイオマスであるグリセリンの転換反応に応用することとした。グリセリンはバイオディーゼルの副産物であり、その有効利用方法の確立が切望されている。 グリセリン変換反応を実施するうえで、その揮発性に着目した。つまり、気相で反応を実施でき、固体触媒を用いても溶出のおそれがないため、幅広い固体触媒を適用できる。このような観点から、常圧固定床流通式反応装置を用いて担持酸化バナジウム触媒によるグリセリンの酸化を実施したところ、部分酸化ではなく酸触媒反応である脱水が進行し、アクロレインが生成した。アクロレインはポリマーや医薬品中間体として重要な化合物であり、選択的に合成できれば大変意義深い。 そこで、アクロレイン合成に着目して改めて触媒設計を行った。その結果、メソポーラスシリカ(SBA-15)骨格中にジルコニアを高分散させ硫酸化した触媒が有効であり、250℃の低温でアクロレインを収率81%で合成できることを見出した。本触媒は既報の高活性触媒(HZSM-5およびリン酸鉄)よりも高い活性・選択性を示す。また、一般的な硫酸化ジルコニアや、メソ孔を持たない硫酸化ジルコニア-シリカと比較した場合にも、本触媒は高活性・高選択性を示すことから、硫酸化ジルコニア種を高比表面積のシリカ中に高分散させることが有効であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)