2010 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素型地域環境管理に影響する地域要因の構造に関する研究
Project/Area Number |
21860005
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
川本 清美 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90520718)
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Keywords | 土木環境システム / 低炭素社会 / 地域要因 / 二酸化炭素排出削減 |
Research Abstract |
平成21年度に実施したI)低炭素型行動・意識に影響する社会的要因におけるマクロレベルからの分析成果をまとめ、査読付き論文(1件)、国際会議(2件)に発表した。温暖化対策における市民意識の地域差と、地域固有の社会要因であるソーシャル・キャピタル(SC)の関係及び、これらが低炭素社会に与える影響を包絡分析法(DEA)を用いて明らかにした。 さらに、II)低炭素型行動・意識に影響する地理的要因の分析をミクロレベルから行い、査読付き論文(1件)、国内学会発表(1件)に成果発表した。まず函館市における市民の低炭素型交通行動選択に焦点をあて、ロジットモデルと共分散構造分析を用いて社会的要因(SC、交通利便性満足度)と地理的要因(地域・交通特性)の影響構造を明らかにした。さらに北海道の全市町村を対象とし、ポテンシャルモデルをGIS上で適用した分析から、寒冷地における市民の低炭素型行動(CO2排出量)と地域構造(産業構造)の関係を明らかにした。 最後に、I)およびII)の結果から社会的要因、地理的要因を整理して、III)地域温暖化対策への地域要因活用について、具体的な事例を提示した。成果は、査読付き論文(2件、うち1件査読中)、国内学会発表(2件)に発表した。分析手法は共分散構造分析である。まず、ライフスタイルが確立する前の若年層の低炭素型行動形成に、地域要因が影響するメカニズムを明示し、低炭素型行動選択の動機付けへの提言を行った。加えて、環境的に持続可能な公共交通である路面電車利用選択(函館市、富山市)に影響する地域環境意識構造を明示し、地域環境意識を活用した路面電車選択行動育成への提言を行った。本研究で明らかにした市民意識及び行動に影響する地域要因を地域環境管理に活用していくことは、低炭素社会の構築において、エネルギー消費を軽減させるための新しい手段となる。
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