2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21860012
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐々木 友之 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90553090)
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Keywords | 液晶 / 光配向 / 異方的フォトニック構造 / 非線形光学効果 / 光制御 |
Research Abstract |
本年度は、液晶材料を用いた光制御型高機能光学デバイスの実現を目指し、光学的異方性の周期的分布によるフォトニック構造(異方的フォトニック構造)の性質を明らかにすることを目的として研究を行った。異方的フォトニック構造は、異方性媒質とフォトニック結晶のそれぞれの性質を併せ持つと考えられることから、新規機能或いは複合機能を有する有用なデバイスへの応用が期待できる。体積ホログラムの特性解析などに用いられている結合波理論に対し、媒質の異方性や光波の偏光も考慮できるような拡張を試み、異方的フォトニック構造の回折特性を簡便かつ解析的に求める方法を提案した。また、得られた解析結果と、マクスウェルの方程式を数値計算により解いた結果との比較検討から、拡張の正当性を確認した。本研究によって、異方的フォトニック構造の有する種々のパラメーターが光学特性に与える影響を概略的に把握することが可能となったため、実際にデバイスを提案及び設計する場合に有用な理論を提案できたと考えている。 また、本年度は、液晶の非線形光学効果を利用した光導波路に関する研究も行った。一般的な平行平板型の液晶セルを光導波路として用い、信号光の光伝播を励起光の照射により制御することを試みた。励起光の波長に対して強い吸収を持つ色素を添加した液晶材料を用い、光熱効果(光吸収による温度上昇に伴い、分子の配向秩序が低下し、屈折率が変化する現象)に起因して生じる屈折率分布によって信号光の伝播を制御する方法を提案した。励起光の強度や照射位置に応じて信号光の偏向が可能となることが実験的に確認されたことから、光情報伝送や光演算の分野への応用が期待できる高機能光導波路を提案できたと考えている。
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