2010 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS伝熱面を用いた高熱流束域沸騰における合体気泡底部気液構造の解明
Project/Area Number |
21860016
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹下 学 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (70549584)
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Keywords | 沸騰熱伝達 / MEMS加工 / 薄膜熱電対 / 気泡核生成 |
Research Abstract |
本研究課題は,原子力・製鉄・電子素子冷却における高熱流束徐熱を背景に,高熱流束沸騰の特徴である気泡合体によって現れる液膜構造と徐熱メカニズムを解明することを目的とする,具体的にはMEMS技術を用いて伝熱面上に沸騰気泡合体現象の最小単位,つまり隣り合う2つの気泡の合体,を実現し,液膜構造の直接観察と伝熱面温度分布の時間変化を計測して,その関係を議論する. MEMS伝熱面の設計パラメータ(気泡合体の起きる気泡核間隔)を求めるために,はじめに実際的な伝熱面で気泡合体がどのように起こり,液膜構造が形成されているのかを確認する予備実験を行った.具体的には透明な平行ガラス平板によって気泡の成長を2次元に拘束した極小伝熱面を設計製作し,そこでの沸騰実験を行った.予備実験の結果,沸騰気泡の成長.合体および気泡底部の液膜構造を捉え,設計パラメータを得ることはできたが,伝熱面とガラスの間が気泡核として機能したため,得られた実験結果を定量的に評価することができなかった.現在二次元拘束部分を改良した伝熱面を製作している. 上記の実験で得られた指針から,マクロ液膜の生成を実現するMEMS伝熱面を開発した.MEMS伝熱面にはフォトリソ技術と薄膜形成を用いて3つの回路,1)水の電気分解によって気泡核を供給する「発泡トリガ」,2)伝熱面温度分布を計測する「薄膜微小熱電対」,3)過渡加熱によって過熱液層を形成する「薄膜ヒータ」,が加工されている.MEMS加工を行う都立産業技術研究センターが移転となったため,計画通りの研究執行が難しくなったが,伝熱面の作成に成功し,それぞれの回路が機能することを確認する実験を行った.過熱液層の成長を制御した状態で発生させた2つの気泡は,過去の解析と矛盾しない速度で成長し,合体時には界面形状の急激な変化による表面波が発生することなどが確認された.なお,系統的な実験およびデータの解析は今後の課題である.
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