2009 Fiscal Year Annual Research Report
都市水システムにおけるリサイクル水の健康リスクの制御技術
Project/Area Number |
21860018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 宏治 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (70533123)
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Keywords | 紫外線 / ニトロソジメチルアミン |
Research Abstract |
本年度は、まず純水系における紫外線分解実験を行うことを計画した。低濃度域において実験を行うことが、本研究の第一の特色であり、LC-MS/MSを用いて0.4ng/lまでの低濃度を測定できる手法を確立した。なお、実環境中に見られる濃度域は、数ng/lから数十ng/lであることから、初期濃度100ng/lにて実験を行うこととした。この実験系を考えた場合に、検出限界が0.4ng/lであることは十分に議論に耐えうるものである。 紫外線による分解として、紫外光がNDMAの結合の一部を切断する直接的分解と、紫外光が水中の光増感剤等に吸収されてラジカルを生成し、それらのラジカルが結合を切断する間接的分解が考えられる。直接的分解としては、NDMAは227nm付近と363nm付近に吸収を持つため、この付近を出力するほうが分解効率は高いと予測される。紫外線ランプの種類として、254nmの単一の波長を出力する低圧ランプ、200-600nmの幅広い波長を出力する中圧ランプの2種類の紫外線ランプを検討する。低圧ランプでは直接的分解が主と考えられるが、中圧ランプでは、間接的分解が期待できる。 本研究で実際に行った結果としては、低圧ランプ、中圧ランプどちらを使った場合でも、同じ照射エネルギー量で比較した場合には、大きな分解率の差は見られなかった。一方、純水系での実験が予定より早く終了したため、環境水を用いた実験を行い、環境水のうち、水道水を用いた実験に着手した。水道水を用いた分解実験を行ったところ、純水系よりも分解速度が低下し、特に中圧ランプにおいて低下率が大きいことが分かった。今後は、水道水以外の環境水を用いて分解実験を継続し、処理に影響を与える因子について特定していく予定である。なお、本年度は研究期間が短いため、21年度中の発表実績は無いが、22年度内の発表について2件応募し、発表受理済みである。
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