2010 Fiscal Year Annual Research Report
都市水システムにおけるリサイクル水の健康リスクの制御技術
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21860018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 宏治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70533123)
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Keywords | 土木環境システム / 紫外線 / ニトロソジメチルアミン |
Research Abstract |
N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)は、水のオゾン処理や塩素処理で副生成しうる物質で、発がん性が指摘され水道水質基準の要検討項目に追加された。本研究の目的は、このNDMAによるリスクを制御することにあった。都市水システム中での最適な制御手法について開発することを目標に、平成22年度は、以下の2点について検討した。第一点は、紫外線処理中における硝酸性窒素の果たす役割についての検討である。第二点は、実用的な都市水システムとして紫外線+塩素という処理を想定し、その都市水システム中での挙動を実際に観察されるng/lレベルの濃度にて検討した。 第一点について、水道水質基準値である10mgN/l及び、それを大きく超えた場合を想定した100mgN/lの濃度にて検討した結果、NDMAの紫外線処理効率は大きく低下することを見出した。また、その低下の程度は、概ね硝酸性窒素による紫外線の吸光によって説明できることが分かった。従って、紫外線の吸収を考える従来のモデルを、ng/lレベルのNDMAの紫外線処理にも適用できることを確認した。 第二点について、NDMAは、紫外線照射で分解される一方、分解産物がそのまま前駆体になることから、紫外線照射後の塩素添加により再生成する可能性が指摘されていた。実際の都市水システムにおけるNDMAの紫外線分解を想定し、Milli-Q水および水道水中に100ng/LのNDMAを添加して紫外線照射実験を行った。その結果、Milli-Q水中、水道水中のNDMAは、低圧紫外線ランプ(1730mJ/cm2)または中圧紫外線ランプ(2200mJ/cm2)の照射により90%以上分解された。紫外線照射後の塩素添加実験によりNDMA再生成を評価した結果、塩素添加後24時間以内のNDMA再生成は認められず、実際の都市水システムの処理においても、問題なく適用できる可能性が示された。
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