2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機物の一時貯蔵によって減少する脱窒量の把握とその改善に向けた検討
Project/Area Number |
21860019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
押木 守 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90540865)
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Keywords | 脱窒 / 活性汚泥 / ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA |
Research Abstract |
活性汚泥による下排水処理の過程で、除表された有機物の一部がポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などの形態で活性汚泥中に一時貯蔵されることがある。脱窒条件下で有機物の一時貯蔵が生じた場合、脱窒反応に利用できる有機物が減少し、脱窒量が低下する可能性がある。また、不足する有機物を補う目的でメタノールや酢酸を無酸素槽へ添加する場合があるものの、投与した有機物が一時貯蔵されてしまっている可能性がある。 本研究の目的は、脱窒条件下で一時貯蔵される有機物の割合を明らかにすることにある。そのため、脱窒反応を行なう3カ所の都市下水処理場から活性汚泥混合液を採取し、処理の各段階で溶解性有機物、PHA、硝酸性窒素を疋量した。そして、無酸素槽における物質収支を計算し、脱窒条件下でPHEとしそ一時貯蔵された溶解性機物の割合を求めた。次に、都市下水処理場から採取した活性汚泥を持ち帰り、酢酸またはメタノールを添加した回分脱窒試験を行なった。そして、PHAとして一時貯蔵されたメタノールまたは酢酸の割合を求めた。 PHAを定量した結果、全ての都市下水処理場においてPHAの蓄積が確認され、流入する溶解性有機物の最大4割に当たる量がPHAとして一時貯蔵される場面があった。とれは本来脱窒皮応に用いられるべき有機物がPHAとして一時貯蔵されてしまっていることを示唆する結果だった。 酢酸またはメタノールを投与した回分脱窒試験を行なったところ、いずれの活性汚泥も酢酸またはメタノールの消費しながら脱窒を行なった。酢酸を投与した場合には、約半分がPHAとして一時貯蔵されてしまったのに対し、メタノールを投与した場合には、ほぼ全てが脱窒反応のために酸化分解された。メタノールはPHAとして一時貯蔵される割合が少ない分だけ投与量を抑えることができ、外部添加する炭素源として好ましいと考えられた。
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