2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機物の一時貯蔵によって減少する脱窒量の把握とその改善に向けた検討
Project/Area Number |
21860019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押木 守 北海道大学, 大学院・工学研究院, 博士研究員 (90540865)
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Keywords | 脱窒 / 活性汚泥 / ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA |
Research Abstract |
本年度は、(1)PHAの簡易迅速定量法の開発、(2)開発したPHA定量法を用いた有機物種、pH、基質添加法が脱窒条件下におけるPHA蓄積に及ぼす影響の解明に取り組んだ。 本研究では脱窒条件下においてPHAの蓄積を抑制し、脱窒反応へ有機物を効率的に消費させる培養条件を見いだすことを目的とする。そうした培養条件を見いだすためには複数の回分試験を実施し、活性汚泥中に蓄積されたPHAを定量・比較する必要がある。活性汚泥中のPHA濃度はガスクロマトグラフィー法で従来定量されてきたが、本法は測定に約2日を要し、測定操作が煩雑であった。そこで、PHA濃度を簡易,迅速に定量する手法の開発に取り組んだ。著者はPHAに特異的に結合する蛍光試薬Nile blue Aに着目し、Nile blue Aの蛍光強度を指標とすることで活性汚泥中のPHA濃度を定量できると考えた。検討を行った結果、Nile blue Aの蛍光強度を指標として活性汚泥中のPHA濃度を定量する手法を開発することに成功した。本手法は5分以内に最大96種の試料を一斉分析でき、迅速性・簡便性に優れた手法であった。 続いて、脱窒条件下においてPHAの蓄積を抑制する培養条件を見いだすため、活性汚泥を異なる培養条件(有機物種、pH、基質添加方法)にて培養し、蓄積されたPHA量を前述した蛍光測定法にて定量した。その結果、有機物種としては、Yeast、glucose、Propionate、Acetate、Methanolの順にPHAになりづらく、脱窒反応のために添加する有機物種としてmethanolが最適であった。pH条件についてはpH6~9の範囲において、低pHであるほどPHA蓄積量は減少し、脱窒槽のpHを低pHに制御することが好ましいと考えられた。基質添加法について、回分式投与と連続投与について比較を行ったところ、連続投与した場合の方がPHA蓄積量は少なく、連続的に廃水を処理する形式が好ましいと考えられた。これら一連の検討結果から、脱窒条件下においてPHAの蓄積を抑制し、脱窒反応へ有機物を効率的に消費させる培養条件を見いだすことに成功した。
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