2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速シンチレータ材料の組成最適化とサブナノ秒時間分解X線検出器の完成
Project/Area Number |
21860024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁谷 憲悟 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (20415425)
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Keywords | 放射線計測 / X線検出器 / シンチレータ / 多重量子井戸 / 励起子 / 結晶構造解析 / 放射光 / 核医学(PET) |
Research Abstract |
スタートアップ研究初年度における最大目的は、代表者が現職(物理系の究室)へ異動したことで失われた化学合成環境の再構築である。本研究の対象物質である有機無機層状ペロブスカイトと呼ばれる化合物群は、適切な良溶媒と貧溶媒の組み合わせが見つかれば、常温常圧で自己組織的に結晶化するため、比較的小規模な実験設備で研究を遂行できる。幸い十分な実験スペースは確保できたため、大学の運営費も活用する事により、簡易ドラフト、グローブボックス、電子天秤、ホットスタラー、真空ポンプ、超音波洗浄機など、最低限の研究機器を揃えることができた。また、試薬、ガラス器具などの消耗品も購入した。手始めに、PhEPbBr4と表記される、本研究において最も基本的組成の化合物を合成し、代表者のオリジナル手法により結晶化を行った。結晶化が必要なのは、放射線には透過力があり当該化合物を放射線検出素子として利用するためには、少なくとも1mmの厚みが必要だからである。この化合物の発光特性は20年以上前から他の研究者も詳しく調べているが、異方性により結晶化が非常に困難なため、これまで詳細な結晶構造は知られていなかった。代表者は4軸X線回折装置で精密な構造解析を行い、解析結果を投稿論文として出版した。また、本研究の次の目的である化合物のパラメータ制御にも着手した。成功の鍵は適切な良溶媒と貧溶媒の組み合わせを見つけることであるが、良溶媒について、概ね、ハロゲンを混合する場合にはアセトン(溶解度が不足する場合はDMF)が、二価金属を混合する場合にはDMF(溶解度が不足する場合はNMP)が適切と判断した。また、6月中旬、11月中旬および1月下旬には高エネルギー加速器研究機構の放射光施設で、11月下旬には高輝度光科学研究センター(SPring8)で、それぞれ高エネルギーX線を当該結晶に照射する実験を行い、結晶からの出力信号(発光)を確認した。
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Research Products
(4 results)