2009 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族分子を分散剤に用いた単層カーボンナノチューブ束状凝集体の孤立化分散
Project/Area Number |
21860030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 陽一 Tokyo Institute of Technology, グローバルエッジ研究院, テニュア・トラック助教 (80526442)
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Keywords | ナノチューブ / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究課題は平成21年9月の交付決定を受けて同年10月より開始したものである.平成21年度は研究環境を整備することに主眼を置き,研究遂行に必要な機器類を選定・購入することから着手した.具体的には,単層カーボンナノチューブ(以下,SWNT)の分散処理に必要な超音波ホモジナイザーや遠心分離装置などを購入した.その後,予備実験として,市販のバルクのSWNT粉末に対し,既知の分散剤(ポリフルオレン)を用いてトルエン溶媒中への分散を試み,SWNTの孤立分散を光吸収スペクトル測定により確認した. なお,本課題の申請時に記述したように,この既知の方法では溶媒中に分散されるSWNTの量が極めて少ない.すなわち,分散後の溶液でも目視ではほぼ無色透明であり,投入したSWNTのぼぼ全量は束状凝集体のまま遠心過程で沈殿し,実際溶媒中に分散される量のは極めて僅か(吸光度から推定して投入量の0.01%より少ない)である.この点の解決が本研究の目的となっている. 平成21年度は分散剤の候補となる芳香族ポリマーの探索を実施した.具体的には,学内の有機合成を専門とする共同研究者から提供された幾つかの候補となる芳香族ポリマーのうち,特定の構造をもつものが,ジメチルアセトアミドとトルエンの混合溶媒に対して極めて多い量(光路長1cmに対し可視域で吸光度4以上となる程度)のSWNTを分散させることを見出した.しかしながら,現状では分散されたSWNTの光吸収ピークの半値幅が従来法でのそれに比べて大きく,孤立度に関しては上述の従来法より依然劣っている状況にある.平成22年度は,分散の主剤としては上記の芳香族ポリマーを中心に用いつつ,SWNT壁面との顕著なπ-π相互作用が期待される様々な芳香族を添加剤として用い,そのSWNT孤立化分散に与える影響を調べてゆく予定である.
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Research Products
(1 results)