2010 Fiscal Year Annual Research Report
雷空電理論波形の伝搬解析に基づくポータブル雷モニタの開発
Project/Area Number |
21860038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (70422649)
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Keywords | 雷空電 / 落雷位置推定 / 電波工学 |
Research Abstract |
本研究の最終目標である雷活動(位置と規模)を単体でモニタする小型軽量なポータブルシステムの開発に対し、以下のような研究成果を得た。 まず、雷空電伝搬特性の理論解析において、雷空電の電離層反射に対し、第一反射波が最も入射角依存性の影響が大きいことを明らかにした。落雷点までの水平距離推定は、電離層反射波間の時間差を用いて推定しており、従来は反射波の中でSN比の良い第一反射波を使用してきた。このため、本研究では入射角に対し電離層反射係数が安定しない第一反射波を使わない距離推定法を新たに開発した。そして、従来法と推定誤差率を比較したところ、従来法は夜間の雷空電に対し距離誤差率20%以下だったのに対し、新しい推定法は5%以下となった。よって、第一反射波を用いない新しい距離推定法により、大幅な誤差改善を得ることができた。 次に、前年度にシステム設計を行ったポータブル雷モニタの試作機(電磁界センサ:40mm、プリント基板:90×190mm、総重量350g)に対し、評価実験を行った。電磁界センサは、従来の1m程度の大きさのものから40mmまで小型化を図ったが、10pT/√HzのVLF帯雷空電をSN比40dBで計測できる性能を有するものを開発することができた。またシステムのポータブル化に伴い開発した姿勢検出の機能は、精度5度以下で検出できる結果を得た。そして、実際に試作機を用いて落雷位置推定を行い、多地点観測システムの推定結果と衛星で観測された可視画像(雲画像)と比較した。比較の結果、試作機による落雷位置推定結果は多地点観測システムと同様に雷雲周辺に分布し、自身の姿勢によらず自動で落雷位置を検出できる機能を有することが確認された。
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