2010 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度地形情報を用いた全球気候モデル出力データの高精度化
Project/Area Number |
21860047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
KIM Sunmin 京都大学, 工学研究科, 講師 (10546013)
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Keywords | 気候モデル / 降水パターン / 河川流況変動 / 分布型水文モデル |
Research Abstract |
本研究では、文部科学省21世紀気候変動予測革新プログラムで開発されている超高解像度全球大気モデル(AGCM20)の現在気候再現出力を用いて,地形データの解像度が気候モデル出力に及ぼす影響を降雨量・河川流出量の視点を通して定量的に評価した.その上で,AGCM20出力を用いた温暖化による洪水・渇水のリスク評価への適用性を複雑な地形特性を持つ日本の流域に対して高い精度で行った. H22年度は,今まで確認できたAGCM20の降水データの地形依存性の特性を念頭に置いて将来の降水パターンの変化及び河川流況変動予測を実施した.まず,降水量データを用い日本全国における降水パターンの変化を調べたところ,将来日本の降水量の増減は地域によって異なる特性を持っていることが明らかになった.しかし,降水量が増加する地域でも蒸発量の増加により利用可能な水資源が減少することが分かった.より詳細な水資源の変化を把握するために,分布型水文モデルを用いて東京の重要な水源である利根川流域の将来の流況変化およびそれに対するダム群の操作による水資源への影響評価を行った.分布型水文モデルでは,斜面流出モデルと河道モデルを中心として,対象流域の水資源利用状態及びそれに対する七つのダム群の操作による影響も考慮されている.AGCM20からの現在(1979~2003),近未来(2015~2039),将来(2075~2099),各25年間の降水と蒸発散データを入力し,利根川流域を対象に流出計算を行った.利根川流域におけるダム群の操作を考慮した河川流況変動予測の結果からは,現在のダム操作ルールを続けた場合,将来の水資源(特に初夏の利根大堰における河川流量)が現在の河川流量と比べて減少する可能性が高くなることが分かった.それを防ぐためには,現在のダム操作ルールを将来の河川流況変動に合わせて改良する必要があると思われる.今後の課題としては,河川流況変動予測における不確実性の定量化及び低減のために,様々なGCM出力を用いたアンサンブル解析が必要となる.
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Research Products
(4 results)