2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌アクチンタンパク質の制御によるバイオフィルム形成の抑制
Project/Area Number |
21860057
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾島 由紘 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (20546957)
|
Keywords | 大腸菌 / バイオフィルム / アクチンタンパク質 / 遊走性 / 遺伝子 / 薬剤耐性力 / 抗酸化剤 / 接着性 |
Research Abstract |
研究実施計画に従って研究を推進し、下記の成果を得た。 1.大腸菌のバイオフィルム形成能におけるアクチン様タンパク質の関連性の解明:各yggE発現レベルにおけるバイオフィルム形成の3つの評価項目(遊走力、接着力、薬剤耐性力)に関して検討を行ったところ、yggE欠損株(yggE発現なし)では、野生株に比べて約4倍程度の遊走性の増加が確認された。なお接着力に関しては大きな違いは確認されず、薬剤耐性力に関しては現在確認中である。yggE遺伝子の欠損により顕著な遊走性の増加が引き起こされたことで、遊走性の増加にともなうバイオフィルム生成の抑制を行うことができる可能性が示唆された。 2.yggE遺伝子発現制御因子の解明:第一段階では、yggE遺伝子の欠損株による検討を行ったが、実際の環境中でのバイオフィルム形成の抑制を達成するには、外的因子によるyggE発現量の抑制が必須となる。そこでまずは大腸菌の既知の酸化ストレス制御因子であるrpoSの欠損株においてyggE発現量を確認したところ、野生株と比べて約3分の1に減少していることが判明し、yggE遺伝子は酸化ストレス応答性を有することが裏付けられた。そこで、次に酸化ストレスを軽減させる目的で代表的な抗酸化剤であるアスコルビン酸を培地中に添加したところ、野生株においてyggE発現量の低下が確認された。 以上の検討より得られた結果から、大腸菌のアクチン様タンパク質をコードするyggE遺伝子は、抗酸化物質の添加により発現が抑制されることが示され、yggE遺伝子の低発現条件では大腸菌の遊走性が大きく増大することでバイオフィルム形成能の低下を促し、yggE遺伝子発現の制御によるバイオフィルム形成の抑制が可能であることが実証された。
|
Research Products
(1 results)