2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌アクチンタンパク質の制御によるバイオフィルム形成の抑制
Project/Area Number |
21860057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾島 由紘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20546957)
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Keywords | 大腸菌 / バイオフィルム / アクチン様タンパク質 / 運動性 / 遺伝子発現 / 鞭毛 / ストレス応答 / 接着性 |
Research Abstract |
yggE遺伝子発現制御因子の解明 前年度に引き続き、生体外からyggE遺伝子の発現抑制を目的とし、亜鉛などの金属イオン等を添加したが、顕著な効果は確認されなかった。しかしながら、M63最小培地においてrpoS遺伝子欠損株における顕著なyggE発現抑制が認められ、発現誘導因子は複合的ストレス応答因子rpoSであると結論づけられた。 バイオフィルム形成の制御 前年度に引き続き、yggE遺伝子欠損が大腸菌の接着性に与える影響を検討したところ、当初の予想とは反して、yggE欠損株においてポリ塩化ビニル(PVC)やポリプロピレン(PP)などのプラスチック表面に対して野生株の約3倍の接着量を示した。この結果を引き起こした原因として、yggE欠損株において鞭毛の形成と回転に関連する遺伝子の発現量が約10倍以上に高くなっていることと、鞭毛活動に付随して高い運動性を示すこととが確認された。また接着したyggE欠損株を走査型電子顕微鏡により観察したところ、野生株と比較して数倍の鞭毛数が観察され、それらの鞭毛が細胞と固体表面また細胞どうしを接続していることが判明した。これらの結果は、培地などの培養条件にあまり左右されず、アクチン様タンパク質の欠損が鞭毛形成ならびにバイオフィルム形成を促進することを示唆している。 以上の検討により得られた研究成果は、本研究の最終目的であるバイオフィルム形成の抑制を図る鵜アで貴重な手掛かりを与えるだけでなく、微生物が固体表面に能動的に接着する際の機構解明の基礎的知見を与えるものである。新規性の高い内容として、学会発表等による研究成果報告を行った。
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Research Products
(4 results)