2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体と微生物をハイブリッド化した新規生体触媒材料の開発
Project/Area Number |
21860059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中島 一紀 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (50540358)
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Keywords | 微生物固定化 / イオン液体 / 生物変換 |
Research Abstract |
イオン液体はカチオンとアニオンからなるデザイン可能な機能性溶媒であり、近年新たな非水系酵素反応溶媒としても注目を集めている。イオン液体は溶媒であるが、有機化学的手法を用いることでイオン液体自身に重合性官能基を導入することができる。本研究では、イオン液体に重合基を導入し、ラジカル重合を行うことポリマー化イオン液体を作製し、このポリマー化イオン液体に細胞触媒(微生物)を固定化した新たなバイオハイブリッド触媒材料を作製した。本研究で開発する新規材料は、イオン液体の「溶媒のデザインが可能」という特徴を利用した「微生物固定化担体のデザインと機能付加が可能」な新たなハイブリッド材料であり、バイオプロセスにおける新規生体触媒材料として非常に興味深い。平成21年度は、微生物を固定化するためのマトリックスであるポリマー化イオン液体の合成、およびそれを用いた微生物とのハイブリッド化について検討を行った。まず、ビニル基を導入した重合性イオン液体の合成を行い、目的化合物が合成されたことを確認した。合成した重合性イオン液体の重合性を架橋剤の共存下ラジカル重合を行うことで検討したところ、水溶液中でポリマーゲルが形成されイオン液体のポリマー化が示された。また、ポリマー化イオン液体への微生物固定化挙動を調査するため、多孔質担体へのポリマー化イオン液体の修飾を行った。ポリマー化イオン液体を修飾した多孔質担体の共存下で糸状菌Aspergillus oryzaeの培養を行ったところ、菌体は効率よく担体に固定化され、ポリマー化イオン液体が微生物固定化能を有することが明らかとなった。さらに、調製したリパーゼ生産性固定化菌体を用いてバイオディーゼル燃料(BDF)の生産を検討したところ、効率的なBDF生産が達成され、本研究で開発したバイオハイブリッド触媒材料がwhole-cell biocatalystとして有用であることが示された。
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