2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ti系酸化膜を用いた抵抗変化型メモリの化学結合状態と抵抗変化現象の相関の解明
Project/Area Number |
21860062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大田 晃生 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 研究員 (10553620)
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Keywords | 抵抗変化型メモリ / メモリデバイス / 絶縁膜技術 / 光電子分光 / 化学結合状態分析 |
Research Abstract |
本年度は、Ti系酸化物を有する抵抗変化型メモリ(ReRAM)の動作原理を解明するために、電気抵抗変化に寄与すると考えられているTiO_2/Pt界面の酸化・還元反応をX線光電子分光法により評価し、さらに界面の化学結合状態が抵抗変化動作に与える影響を調べた(研究成果1)。また、TiO_2へのY_2O_3混合による抵抗変化特性の安定化を試みた(研究成果2)。 (研究成果1)MOCVDによりPt膜上へのTiO_2堆積した後、リモートO_2プラズマ処理によりグロー放電分解した活性な原子状酸素によりTiO_2/Pt界面にPtO_xが形成されることを明らかにした。1000℃までの酸素雰囲気中熱処理では、Rto_xの形成は認められなかった。400℃以上のN_2雰囲気熱処理により、このPtO_xは還元され、TiO_2膜中への顕著なPt原子の拡散を伴わないO脱離の進行が観測された。上部電極にAuを形成したMIMキャパシタにおいて、PtO_x形成に関わらず、Au電極へ正バイアスを印加することにより低抵抗状態と高抵抗状態の電流密度を繰り返す抵抗変化動作を確認した。界面にPto_xを形成することで、低抵抗状態の電流密度が増大し、伝導パスの形成を促進することが分かった。TiO_2/Pt上に極薄Pt電極を形成し、大型放射光施設SPring-8により、抵抗変化前後で上部電極越しに化学結合状態を評価した結果、低抵抗状態では上部Pt電極/TiO_2界面にPtO_xの形成を実測した。 (研究成果2)Pt上に深さ方向に均一な組成のTiY_xO_y膜をMOCVDにより形成した。分光エリプソメトリによるエネルギーバンドギャップ(Eg)の評価とXPSによる価電子帯分析から、Y/(Ti+Y)組成が~33%の領域では、TiYーxO_y/Pt界面の伝導帯側の障壁高さはY組成に依らず~1.3eVで一定であり、価電子帯側の障壁高さはY組成の増大と伴にわずかに増大(~0.3eV)すること明らかにした。Au上部電極を形成したMIMキャパシタにおいて、Y_2O_3を混合することで、抵抗が変化する電圧のばらつきが減少し安定になることが分かった。しかしながら、TiO_2では~10^4であった高抵抗状態と低抵抗状態で抵抗比が、Y/(Ti+Y)組成~33%では、抵抗比が~10^2まで減少することが分かった。'
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Research Products
(4 results)