2010 Fiscal Year Annual Research Report
Ti系酸化膜を用いた抵抗変化型メモリの化学結合状態と抵抗変化現象の相関の解明
Project/Area Number |
21860062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大田 晃生 広島大学, 先端物質科学研究科, 研究員 (10553620)
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Keywords | 抵抗変化型メモリ / メモリデバイス / 絶縁膜技術 / 光電子分光 / 化学結合状態分析 |
Research Abstract |
前年度までに、Y/(Ti+Y)組成の異なるTiY_xO_y膜を用いたAu/TiY_xO_y/Ptキャパシタにおいて、Au電極への正電圧印加による抵抗変化I-V性より、TiO_2へのY_2O_3混合は動作電圧(V_<SET>およびV_<RESET>)のばらつき改善に有効で明らかにした。平成22年度では、当初計画通り、TiO_2膜への元素導入による更なる抵抗変化動作の安定化および素子の低抵抗化を目的とし、単体および酸化物が共に金属であり、熱処理により酸化・還元反応が容易に生じるRuをTiY_xO_y膜に熱拡散させ、Ru添加が抵抗変化特性に与える影響を評価した。Pt下部電極上に、Ru(dipivaloymethanato:DPM)_4を用いたMOCVD(O_2分圧:~10Pa,基板温度:~250℃)によりRu薄膜を形成した。Ru形成と同様に、Ti(DPM)_4およびY(DPM)_3を用いたMOCVD(基板温度:~450℃)により、極薄Ru/PtもしくはPt上に~10nmのTiY_xO_y膜(Y/(Ti+Y)組成:~20%)を形成した。その後、膜緻密化およびTiY_xO_y膜中へRuを熱拡散させるために、~1%O_2雰囲気中500℃で熱処理を行った。熱処理前後でXPSにより評価した結果、TiY_xO_y堆積後に存在したRu-Ru成分はO_2熱処理により消失し、Ru-O成分が支配的となり、O_2熱処理後にTiY_xO_y膜中にRuO_xが~1%程度混入していることが分かった。熱蒸着によりAu上部電極を堆積し、正電圧を印加による抵抗変化動作を調べた。Ru添加に関わらず200回以上の抵抗変化スイッチング動作を確認し、TiY_xO_yにRuを添加することで、ON抵抗は半減した。しかし、~1%Ru添加においても高抵抗状態の低抵抗化に伴ってON/OFF比の顕著な劣化が観測された。V_<RESET>のばらつきは、顕著な差は認められないが、V_<SET>ばらつきについては、Ru添加した試料で標準偏差値が0.194V、無添加試料の値(0.323V)よりも顕著に小さく、低減していることが分かった。Ru添加によって、TiO_2ネットワーク中に酸素空孔が生成し易くなっている可能性が考えられる。
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Research Products
(6 results)