2010 Fiscal Year Annual Research Report
線引き制度からみた地方都市のコンパクト性評価に関する研究
Project/Area Number |
21860063
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 剛士 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40553160)
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Keywords | 都市計画 / 線引き制度 / コンパクトシティ / CO2 |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度に整備したメッシュデータを用いて、対地域の公共交通利便性を評価し、パーソントリップ、開発、建築に伴い排出される二酸化炭素の状況を100mメッシュデータとして空間的に整理した。この結果、対象地域では、公共交通の利便性、利用率が低く、鉄道、バスを利用した場合の二酸化炭素排出量が自家用車の移動に伴う排出量と比較して極めて小さいことが明らかになった。そこで、公共交通施設に限らず、全12種の都市施設までの距離を交通利便指標として採用し、交通、建築行為に伴う二酸化炭素排出量と各種都市施設までの距離との関係について統計的解析手法を用いて明らかにした。この結果、線引き都市、非線引き都市ともに医療系公共施設、インターチェンジに近い地域が排出量の実績値、予測値が大きく、両都市とも類似の傾向を示していることが明らかになった。そのため、線引き制度を廃止、又は運用した場合のシミュレーション結果に関しては、当初想定していた変化は見られなかった。しかし、このことは、持続可能な都市の実現を考えた場合、線引き制度の運用のみでなく、これら都市施設の立地を適切にコントロールすることが都市のコンパクト性を高めるうえで必要であることを示しているといえる。特に、医療、福祉、教育施設は、改正された都市計画法第29条において、今後、郊外部への立地が規制される施設であるが、現状、環境負荷に与える影響が大きく、これら用途を将来どのように市街地に集約するべきかを検討する必要性が指摘できた。最後に、以上得られた知見から、郊外部のみでなく都心への機能集積を果たす手法として、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の既存メニューを用いた中心市街地の更新手法について全国の事例を収集し、その実態を明らかにするとともに、その効果と課題の整理をした。
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