Research Abstract |
平板翼後流のコヒーレント構造を制御,そして制御効果を評価するためのプラズマ電極配置及び計測システムの構築に努めた.平板翼後流のコヒーレント構造を解明するために,熱線流速計による定量的な計測から平板翼後流における渦構造の抽出を行う.そのため,熱線流速計の定温度回路(以下CTA)を製作した.製作したCTAの周波数特性は3.2kHzまでの入力電圧の変動に対し計測が可能であり,円柱後流のカルマン渦列の渦放出周波数の計測を行い実験式に対し3%以内で計測可能であることを実証した.また,噴流のコア領域の流速測定では,ピトー管の流速に対し,製作したCTAによる流速計測では2%の範囲内で計測が可能であり,十分な計測精度であることを実証した.I型熱線流速計を用いて,平板翼後流の時間平均速度分布及び乱れ強さからスパン方向の流動特性を調査した.その結果,際立ったスパン方向の渦構造は確認できないことからX型熱線流速計や条件付計測法といった手法により,詳細に後流構造を調べる必要がある.プラズマジェットに関し,単一のプラズマ電極配置により,印加電圧・周波数により異なる形態の渦対を生成した.レイノルズ数はおよそ53,000で,平板翼壁面上に,Downwash形態,Upwash形態の渦対の生成に成功した.そして,それぞれの渦形態を作用させ,後流構造の変化を,流れの可視化から検証した.Upwash形態の渦は,平板翼壁面上から離れるように作用するため,後流の再循環領域に大きな変化は見られなかった.しかし,Downwash形態の渦対は,平板翼壁面上に形成され,平板翼後流で形成されるカルマン渦の渦スケールを小さくし,カルマン渦列による流れの蛇行運動を減衰させることが分かった.今後,後流の流動特性を定量的に評価する必要がある.
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