Research Abstract |
プラズマアクチュエータによる平板翼後流のコヒーレント構造の制御に向け,プラズマアクチュエータの開発,並びにその運動量輸送効果を調査した.翼弦長さを代表長さをとしたレイノルズ数は53,000である.プラズマアクチュエータなしの場合,平板翼面上では,非定常な流れ方向に軸を有する縦渦対が誘起され,平板翼後流ではカルマン渦列が形成される.この縦渦対の時間的・空間的な規則性は見られず,形成されるカルマン渦列の三次元性は顕著にみられなかった.プラズマアクチュエータによる制御では,電極間隔を15mm,20mm,25mmと変化させ,平板翼面上で形成される縦渦対を規則的に配置させ,その流れの挙動を可視化した.電極間隔が15mmでは,向かい合った電極から誘起されるジェットが衝突し,流体が巻き上がり,縦渦対中心では平板翼面上から離れるUpwash形態の縦渦対が形成された.電極間隔が25mmになると,向かい合った電極から誘起されるジェットは衝突せず,縦渦対中心では平板翼面上へ向かうDownwash形態の縦渦対が形成された.平板翼後流の流れ場の計測には,平成21年度に製作したCTA装置を利用し,X型熱線流速により平板翼後流の流れ方向,及び高さ方向の流速を計測した.電極間隔が15mmのUpwash形態の縦渦対の場合,平板翼の後流域の流れ方向速度は大きく低下する.そして,電極間断面の高さ方向の速度は,上向きの速度が増加する.また,電極間隔が25mmのDownwash形態の縦渦対の場合,電極上断面の高さ方向の速度は,平板翼後流の中心方向へ向かう流れが増加する.そして,電極上の断面におけるレイノルズ応力を見ると,平板翼後流の中心方向へ向かう運動量輸送量は,ジェット無しに対し,最大で25%増加する.これは平板翼後流幅を抑制する効果があり,プラズマアクチュエータにより流体機械の駆動効率の高効率化に期待できる.
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