2009 Fiscal Year Annual Research Report
六方晶窒化ホウ素へのリチウムインターカレーションによる新物性の発現
Project/Area Number |
21860071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
兵藤 宏 Tokyo University of Science, 基礎工学部・材料工学科, 助教 (30548863)
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Keywords | インターカレーション / 六方晶窒化ホウ素 / 層間化合物 / X線回折 |
Research Abstract |
六方晶窒化ホウ素(h-BN)はグラファイトと同様の構造を持つ層状物質である。グラファイトでは数多くの元素がグラファイト層間にインターカレートされ、層間化合物(GIC)を形成することが知られているが、h-BNではh-BN層間化合物(h-BNIC)に関する報告例はほとんどない。本研究では、通常行われる石英管への封入ではなく金属管に試料を封入し、1300℃の高温で熱処理することで、Liをインターカレートしたh-BN(Li-h-BNIC)の作製に成功した。 SPring-8のBL02B2ビームラインにて、作製した試料の粉末X線回折測定を行ったところ、Liインターカレーションにより、これまで実験室系のX線で確認できていた(002)面のピークだけでなく、(100),(110),(102)面のピークも低角側にシフトしていることが確認され、作製した試料のXRDパターンが格子定数の伸びたh-BNの構造でフィッティングできた。GICと比較すると、層間距離はLiC_6と同程度の伸び率を示していたが、a軸がGICよりも大きく伸長していることが確認された。代表的なGICの構造であるKC_8, LiC_6におけるインターカラントの配置を参考にしてLiの面内構造を検討したが、計算で予測されるいくつかのピークが実験では観測されておらず、まだわかっていない。また、TEM観察を行った結果、電子線回折図形が6回対称性を残しつつデバイ・シェラー環状になっていたことから、Liインターカレーションに伴う層間距離の増大によってBN原子層の層間相互作用が弱まりBN層の積層が乱層化していることが示唆された。昨年度の研究から、試料の最適作製条件がわかったため、今年度は良質な試料を作製し、物性測定を行う予定である。Liインターカレーションによる金属転移が過去の研究から予測されており、超伝導の発現も期待できる
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