2009 Fiscal Year Annual Research Report
外部磁場による磁性カーボンナノチューブのマニピュレーション
Project/Area Number |
21860072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
長岡 豊 Toyo University, バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター, 研究助手 (90531880)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / マニピュレーション / 回転磁場 / ナノマシン |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)はその特異な性質からナノエレクトロニクスなど多岐にわたる応用が期待されている。しかし、ナノ・マイクロ領域中では正確な運動・位置の制御(マニピュレーション)は技術的に困難である。そこで、本研究はCNTの内部に鉄原子が内包された"磁性カーボンナノチューブ"に着目し、外部磁場による磁性CNTのマニピュレーション手法の開発を目的とした。本手法の原理は以下の通りである。磁性基板上に磁性CNTがあるとき、回転磁場を印加すると磁性CNTは磁場に追従し回転運動をする。ここで、磁性CNTと磁性基板間に磁気的相互作用が働き、磁性CNTは磁性基板に引き寄せられる。磁性CNTは回転しながら基板と接触するため、その摩擦が十分ある場合、磁性CNTは回転運動をしながら基板上を移動する。磁性基板はガラスにスパッタリング装置を用いてクロムと金を堆積させたあと、電解メッキ法によりニッケル膜を作製した。磁性CNTは界面活性剤(SDS)を加えた水に混合した後、超音波分散機を用いて水に分散させた。ここに蛍光試薬であるFluorescein sodium saltを混合した。これにより溶液全体が発光するため、磁性CNTは影になり観察が可能となる。この磁性CNT溶液を磁性基板のセルに封入し倒立落射蛍光顕微鏡でその運動を観察した。磁性基板上の磁性CNTに回転磁場を印加すると、磁性CNTは磁場に追従しながら回転運動をし、基板上を転がりながら移動することが明らかとなった。また、印加する磁場の向き、周波数を変えることにより、その移動方向・速度を制御できた。本手法により、磁性体基板上における磁性CNTの二次元的マニピュレーションが可能になった。
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