2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形粘弾性要素に支持されたヘリングボーン動圧気体軸受の超高速安定性に関する研究
Project/Area Number |
21860076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮永 宜典 Waseda University, 理工学術院, 助手 (00547060)
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Keywords | 非線形 / 粘弾性 / ヘリングボーン軸受 / 超高速回転 / 自励振動 / 安定性 |
Research Abstract |
本研究では,軸受を支持する粘弾性体の非線形性がヘリングボーン動圧気体軸受の超高速安定性に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている.本年度は,まず,粘弾性要素に材質の異なる0リングを用いて,軸受支持下における弾性係数と減衰係数の周波数に対する非線形性を8kHzまでの周波数範囲で明らかにした.軸受支持0リングの材質には,ニトリルゴム,シリコーンゴム,スチレンブタジエンゴムの3種類を用いた.その結果,弾性係数はいずれの材質に対しても周波数の増加とともに増加し,広い周波数範囲に対して強い非線形性を示した.一方,減衰係数の値は高周波数域において一定値に収束するような傾向が見られ,非線形性は比較的低周波数域にのみ存在した.次に,弾性係数と減衰係数の周波数依存性を良く表現できる実験式を新たに提案し,これらの実験式を用いて軸受系の安定解析を行った.また,上述した3種類の軸受支持0リングでヘリングボーン動圧気体軸受を支持して軸受試験を行い,それぞれの安定限界速度を測定した.その結果,解析結果と実験結果の違いは高々6%であり,本研究手法の妥当性が確認できた.本研究により,3種類の軸受支持0リングによる安定性の違いは非常に顕著であり,その差は約20万rpmにも達することが明らかになった.最も安定化効果が高く,超高速回転の実現に有効であったのは,弾性係数の周波数依存性が最も小さく,減衰係数の値が周波数全域において最も大きかった,ニトリルゴム製の0リングであった.一方,最も安定化効果が小さかったのはシリコーンゴムであり,高周波数域での減衰係数が急激に低下することが原因であると考えられる.本研究において,軸受を支持する粘弾性体の非線形性を考慮することで,ヘリングボーン動圧気体軸受を支持することで,53万rpmまでホワールの発生を抑制することができた.
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