2010 Fiscal Year Annual Research Report
米国の新ゾーニング手法「フォームベースドコード」の日本への適用に関する研究
Project/Area Number |
21860082
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
佐々木 宏幸 兵庫大学, デザイン学部, 准教授 (10512501)
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Keywords | 都市計画 / ゾーニング / フォームベースドコード / アメリカ / ニューアバニズム |
Research Abstract |
平成22年度は、21年度に行った米国での実地調査で得られた知見をもとに、米国ワシントン州ボッセル市の「ダウンタウンサブエリアプランと開発規定」を対象に、フォーム・ベースド・コードの策定プロセスと策定内容を分析し、その可能性と課題に関する研究を行った。その結果、市の行動計画と開発規定を一体的に策定したボッセル市のプランを「統合型フォーム・ベースド・コード(以下統合型FBC)」と位置づけ、以下の結論を得た。 1. 統合型FBCは、明快で今日的な都市デザイン理論であるNU理論に基づいている。 2. 統合型FBCの開発規定は、ゾーニング規定に代わる法令としての位置づけを与えられる。 3. 統合型FBCは、コミュニティのビジョンの実現を推進する可能性を有している。 4. 統合型FBCは、近隣・街区スケールではNU理論の空間的枠組み構築を推進する可能性を有している。 5. 統合型FBCがNU理論の社会・政治・経済等も含めた広範な概念を実践する手法として機能するためには、統合型FBCの策定プロセスが重要である。 6. 統合型FBCがNU理論の具現化を能動的に推進する手法として広範に普及するためには、歴史・文化、街区スケールでの資源効率、広域計画に対応する策定項目の導入が不可欠である。 7. 統合型FBCを有効に機能させるためには、施行後の柔軟な運用プロセスの確立が必要である。 本研究では統合型FBCが日本の都市計画に与える一定の示唆を示すことができた。今後さらに本手法を、日本の地方都市の中心市街地活性化や、地区計画などの敷地単位の建築規制の脱却などに活用するためには、統合型FBCの実践結果と従来ゾーニングの実践結果の差異の検証や、統合型FBCが生み出す都市計画法制度における問題点の検証などが必要であると考える。これらの一連の研究は研究代表者の博士請求論文としてまとめた。
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