2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ流の安定性解析における特異点と接続問題に関する理論的研究
Project/Area Number |
21860091
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
白石 淳也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (60513223)
|
Keywords | プラズマ・核融合 / 数理物理 / 応用数学 / 計算物理 / 境界層理論 / トカマク / 抵抗性壁モード / 磁気流体力学 |
Research Abstract |
プラズマ流の安定性解析は学術的に興味深い問題であると同時に、流れによるプラズマの安定化が高性能核融合炉の実現に必要であるため、実用上も重要な研究課題である。安定性解析において、重要な物理量を抽出する手法に「接続法」がある。接続法では、支配方程式の特異点(不安定なモードが共鳴を起こす場所)を横切って解を接続する。そのため、特異点の性質を明らかにする必要がある。しかし、プラズマ中に流れがあると、ドップラー効果に加えて、モードが振動するために、特異点の場所が先験的に決まらないという数学的な問題がある。そのため、従来の接続法では、プラズマ流の安定性解析を行えなかった。そこで、昨年度は、先験的に位置が分からない特異点を含むように、有限幅の接続領域を用いた一般化された接続法を提案した。今年度は、一般化された接続法に基づいて、解析的な分散関係を導出し、安定性に影響を与える重要な物理量を明らかにした。まず、支配方程式の特異点近傍を支配する方程式を導出し、解析解(特殊関数で表わされる)を求めた。解析解を用いて、一般化された接続法に基づき分散関係を導出した。得られた分散関係を用いると、特異点におけるプラズマ平衡の情報等を与えれば、モードの成長率及び振動数を計算することができる。得られた分散関係を用いて、高性能核融合炉で重要となる抵抗性壁モードの解析を行った。解析解を調べることで、回転の大きさだけでなく、回転シアと磁気シアが抵抗性壁モードの分散関係に大きく影響を与えることが明らかになった。更に、回転シアが磁気シアより小さい(大きい)場合、回転が抵抗性壁モードを安定化(不安定化)することが明らかになった。以上の結果は、抵抗性壁モード解析においてこれまで着目されてこなかった回転シアが、重要な役割を果たしていることを示している。
|