2010 Fiscal Year Annual Research Report
エンドポイント蛍光消光法を用いた水系病原微生物の簡便・正確定量法の確立
Project/Area Number |
21860094
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
岸田 直裕 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 主任研究官 (10533359)
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Keywords | 土木環境システム / 水資源 / 水循環 / 遺伝子 / 微生物 |
Research Abstract |
衛生設備の整っていない発展途上国だけでなく、設備の整った先進国でも水系の感染症が発生しており、深刻な衛生問題となっていることから、水源における水系病原微生物の汚染実態を把握することは急務の課題である。しかしながら、病原性原虫等の一部の微生物を除いて調査範囲が限定されているのが現状である。調査が遅れている要因の一つとして、検査法の複雑さ・煩雑さが挙げられる。リアルタイムPCR法に代表される従来の水系病原微生物の定量法は、高価な装置を必要とし、さらに共存する阻害物質の影響で、正確な定量が困難であった。 そこで本研究では、新規遺伝子定量法として近年報告されたエンドポイント蛍光消光法を利用することで、高価な装置を必要とせず、さらに正確な測定が可能な水系病原微生物の新規定量法を確立することを目的とした。本研究では、水系病原微生物の代表例としてクリプトスポリジウムを選定し、18S rRNA遺伝子を対象としたエンドポイント蛍光消光法の定量系の確立を試みた。はじめにエンドポイント蛍光消光法用のプローブを設計し、標準遺伝子を用いて検量線を作成して定量系の有効性を確認した後、河川水中のクリプトスポリジウムの測定に構築した定量系を適用し、実用性を調査した。 その結果、再現性の高い検量線を作成することに成功し、実河川水中のクリプトスポリジウムを、高価な装置を必要とするリアルタイムPCR法による定量値と非常に近い値で定量することが可能であった。これらの定量値は従来法の顕微鏡観察法のカウント値とも近い値であった。また、エンドポイント蛍光消光法に逆転写反応を組み合わせることで、検出感度の大幅な上昇が確認され、実用的な検査系を構築することに成功した。
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