2010 Fiscal Year Annual Research Report
力学系理論を利用したラグランジュ点近傍軌道における軌道制御手法
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21860095
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中宮 賢樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (10548316)
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Keywords | 力学系理論 / ラグランジュ点 / マニフォールド |
Research Abstract |
日本初のラグランジュ点ミッションとなる次世代亦外線天文衛星(SPICA)がJAXA内で検討されている中、太陽-地球系ラグランジュ点近傍の周期軌道を飛翔するミッションついて、ラグランジュ点近傍の力学的特性を利用した衛星の軌道制御手法を確立し、その特性の定量的な評価を行った。 はじめに、3体問題における力学的特性を利用して、アンローディング運用(姿勢制御に用いられるリアクションホイールに蓄積される角運動量を開放する作業)を考慮に入れて基準ハロー軌道近傍を飛翔し続ける軌道保持について考察を行なった。その結果、力学的特性を利用してアンローディングによる余剰並進力をうまく軌道保持に活用することで、従来の軌道修正手法より少ない修正量(燃料)で軌道を修主できることが分かった。 次に、クリティカルな運用を伴うハロー軌道投入を避けるために、3体問題の力学的特性(安定マニフォールド)を利用して地球から基準ハロー軌道に移行する遷移軌道についても検討を行った。その結果、投入する基準ハロー軌道の大きさを調整することで、日本のロケット射場から安定マニフォールドを利用してハロー軌道に遷移できることを確認し、さらに打ち上げ時期を十分確保できることが分かった。 進捗はほぼ研究計画とおりに実施されており、基準軌道をハロー軌道とした軌道保持の検討で得られた成果は、マイルストーンとしていた国外の学会で発表し、海外雑誌投稿に向けて現在準備中である。また基準軌道をハロー軌道とした地球からの遷移軌道についても、その成果を国内外の学会にて発表を行った。
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