2009 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に対する冷温帯森林生態系の生物多様性の応答
Project/Area Number |
21870002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 誠宏 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (80545624)
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Keywords | 大規模操作実験 / 産地別共通圃場 / 地理的スケール / モニタリング / パタン解析 / メカニズム / 電熱線 / オープントップ・チャンバー |
Research Abstract |
地球温暖化に対する冷温帯林生態系の応答を解明するために、これまでの研究の継続とさらに今後の研究のための環境整備を行った。地球温暖化が冷温帯林の代表的な遷移後期種にあたるミズナラと植食性昆虫の関係に与える影響を明らかにする研究を行った。苫小牧研究林の温暖化実験区でのミズナラ林冠木の食害調査を継続するとともに、分光リモートセンシングを使い林冠の食害度と関係のある葉形質(フェノール・リグニン・窒素など)について評価した。土壌加温処理が葉のフェノール、リグニンの含有量を変化させ、それが食害度に影響を与える可能性が示されたが、一方枝加温処理は葉形質および食害度への影響はなかった。MDSIとPLS回帰モデルによって分光反射情報から植物のフェノール量を評価することができた。また、中川研究林では冷温帯林の遷移中期種にあたるダケカンバの温暖化実験の準備を進めている。ダケカンバ林冠木(20m以上)にアクセスできる2基の林冠ジャングルジムが建設中である。ダケカンバ林冠木に温暖化実験ができるよう電柱2本を建てAC電源の配線工事を行った。2010年度から枝の温暖化実験を開始する。さらに、森林限界付近に生育するハイマツ林の地球温暖化による分布衰退の直接的・間接的要因を明らかする研究も行っている。定点カメラを設置して冬期も継続する長期モニタリング体制を構築した。予備実験として大型オープントップ・チャンバーを制作してハイマツの温暖化実験を行っている。その他の今後の研究展開として、北大雨竜と鳥大蒜山の複数のミズナラ産地別共通圃場で調査することにより、葉形質の遺伝と環境に基づく変異が植食性昆虫に及ぼす波及効果を検証したい。鳥大蒜山と岐大高山には林冠ジャングルジムがありコナラとミズナラにアクセスができるので、その林冠木に温暖化実験ができる環境整備を行いたい。
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