2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンリガーゼβ-TrCPの生殖細胞系譜における恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
21870006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 星児 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00529448)
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Keywords | 雄生殖細胞 / ユビキチンリガーゼ / ノックアウトマウス / タンパク質分解 / 不妊 / 幹細胞 |
Research Abstract |
ユビキチンリガーゼの1つであるβ-TrCP欠損マウスは不妊傾向を示すがその詳細は明らかにされていない。 雄性生殖細胞系譜におけるβ-TrCPの機能解析を行うため、β-TrCP2コンディショナルKO(CKO)マウスならびにβ-TrCP1 KO・β・TrCP2 CKOマウスと3種類の生殖細胞特異的かつ発生時期特異的なCre-recombinase発現マウスと交配し、そのうち2種類のCre-recombinase発現マウスの系統で解析個体を得ることができた。 β-TrCP KOマウスで見られた不妊がセルトリ細胞の機能不全によって引き起こされているか明らかにするためセルトリ細胞特異的にCre-recombinaseを発現するAmh-Creマウスの解析を行ったところ、コントロールに比べβ-TrCP1 KO・β-TrCP2 CKOマウスの精巣の重量はほぼ同程度であり、HE染色による形態学的解析からも大きな異常は観察されなかった。しかし、生後3日目から精母細胞でCre-recombinaseを発現するStra8-Creマウスでは、β-TrCP1 KO・β-TrCP2 CKOマウスの精巣の重量がコントロールの30%程度にまで減少しており、大きさも非常に縮小していた。組織学的な解析では、本来精子がいる領域が空洞化していた。一部には正常の形態を示す精巣もあったが、これはCre-recombinaseによるノックアウト効率を反映していると推察された。 これらの結果はユビキチンリガーゼβ-TrCPがセルトリ細胞ではなく精母細胞から精子への分化過程において標的基質を分解することが正常な生殖細胞の発生に必要であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)