2010 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂期特異的な姉妹染色体接着因子による相同組換え開始制御の分子機構
Project/Area Number |
21870007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久郷 和人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特任研究員 (60554425)
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Keywords | ゲノム動態 / 遺伝 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
配偶子を形成するための減数分裂期には、必ず相同染色体間での遺伝的組換えが起こる。減数分裂期相同組換えはSpollと補助因子(出芽酵母では9個)によりDNAが二本鎖切断(DSB形成)されることで開始される。それら10個の因子が順次染色体に結合し、複合体を形成した後、活性化されることでDSBが形成されると考えられている。DSB形成は、時間的、空間的に厳密に制御されていることが明らかになりつつある。これまで、染色体高次構造による空間的なDSB形成機構に焦点を当てている研究を行ってきた。減数分裂期の高次染色体構造の基礎となるRec8が、直接的或いは間接的にSpollの染色体上の結合分布を制御していることを示したが、詳細な解析は行っていない。本研究ではさらに発展させ、Rec8とSpoll、補助因子についての分子レベルでの解析を行った。 1.SpollとRec8の相互作用:SpollとRec8の物理的な相互作用を検出することは出来なかったが、減数分裂特異的に染色体上のSpoll結合部位とRec8結合部位が相互作用する可能性を示すことが出来た。 2.Spoll補助因子群とRec8の関わり:ゲノムワイドな解析により、Spollに先だって染色体に結合する補助因子Recll4の結合が、染色体領域特異的にRECS遺伝子欠損の影響を受けることを示した。 3.DSB形成複合体形成へのRec8の関わり:Rec8非存在下では、領域によりSpoll結合部位へのDSB補助因子の結合が減少することが分かった。このことは、Rec8がDSB形成複合体の形成にも係わっている可能性を示している。 以上のことから、Rec8またはRec8を介した染色体構造が、DSB形成因子の染色体への結合と複合体形成に深く関わっていると考えられる。これは、染色体の高次構造とDSB形成の分子レベルでの繋がりを初めて示すものである。
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Research Products
(7 results)