2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21870009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉橋 洋史 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (60508357)
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Keywords | プリオン / アミロイド / タンパク質 / 凝集 / 酵母 |
Research Abstract |
狂牛病等で知られるプリオンは、タンパク質のみで感染性を持つユニークな感染体である。その実体は、プリオンタンパク質PrPが作る特殊な構造のアミロイド線維である。同様に単細胞真核生物の酵母にも、タンパク質のみから成る感染性粒子、酵母プリオンが存在する。本研究では酵母プリオンを利用して、細胞内でプリオンが維持される分子メカニズムを解明することを目的とする。 酵母プリオンの一つである[RNQ+]([PIN+]とも呼ばれる)はRnq1タンパク質のアミロイド線維から形成される。本年度は[RNQ+]プリオン維持に重要な役割を担うRnq1タンパク質のアミノ酸残基や領域を決定するため、Rnq1タンパク質に突然変異を導入して、[RNQ+]プリオン維持不能な突然変異体を複数得ることを試みた。[RNQ+]プリオンの判定マーカーとして、[RNQ+]存在時のみ他のプリオン([PSI+])を阻害するRnq1delta100を利用した。取得された突然変異を決定したところ、Rnq1タンパク質のN末端領域に突然変異が集中していた。Rnq1タンパク質はC末端側にアミロイド形成領域を有することが知られているが、非アミロイド形成領域であるN末端領域もプリオン維持に重要な役割を担うという興味深い知見が得られた。また、Rnq1タンパク質の二次構造予測によると、突然変異はαヘリックス上に位置しており、プリオン維持に関わる因子がこの部位でRnq1タンパク質に作用している可能性が考えられる。
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