2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21870009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉橋 洋史 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60508357)
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Keywords | プリオン / アミロイド / タンパク質 / 凝集 / 酵母 |
Research Abstract |
狂牛病等で知られるプリオンは、タンパク質のみで感染性を持つユニークな感染体である。その実体は、プリオンタンパク質PrPが作る特殊な構造のアミロイド線維である。同様に単細胞真核生物の酵母にも、タンパク質のみから成る感染性粒子、酵母プリオンが存在する。本研究では酵母プリオンを利用して、細胞内でプリオンが維持される分子メカニズムを解明することを目的とする。 酵母プリオンの一つである[PSI+]は翻訳終結因子Sup35タンパク質のアミロイド線維から形成される。また、[RNQ+]は機能未知なRnq1タンパク質のアミロイド線維である。[RNQ+]プリオン維持を不安定にするRnq1タンパク質の変異を昨年度は明らかにしたが、これらの変異が、[PSI+]プリオン維持の阻害を引き起こすことを今年度は発見した。また、新たに[PSI+]プリオン維持阻害活性を有するrnq1変異体を取得した。取得された突然変異を決定したところ、Rnq1タンパク質のN末端領域に突然変異が集中していた。Rnq1タンパク質はC末端側にアミロイド形成領域を有することが知られているが、非アミロイド形成領域であるN末端領域が異種のプリオン維持に重要な役割を担うという興味深い知見が得られた。また、これらのrnq1変異が[PSI+]の維持を阻害するときには[PSI+]のアミロイドが大きくなり、シード数が減少することを確認した。
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