2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21870017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戎家 美紀 Kyoto University, 医学研究科, 特定助教 (00544933)
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Keywords | 遺伝子発現 / 綱羅的解析 / 人工遺伝子回路 |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子発現のネットワークの「網羅的解析」と「新規作製」という二つのプロジェクトを行っている。本年度の新規作製プロジェクトでは、「人工細胞間コミュニケーション(人工遺伝子回路を用いて細胞-細胞間で遺伝子発現を制御するしくみ)」を行うための基本となる部品づくりを行った。シグナル伝達タンパク質であるNotchやDeltaなどのクローニングと改変を行い、改変タンパク質が細胞内で働くことを確認できた。また、完成したプラスミドを、レンチウイルスを用いて細胞に導入し、イメージングを行うまでの一連の流れをセットアップすることができた。並行して、各部品とそれを組み合わせたシステムの挙動を予測・理解するため、反応速度論に基づいた簡単なコンピュータシミュレーションとパラメーター測定を開始した。 一方、網羅的解析プロジェクトでは、「転写の波及効果(私達が見出した、一つの遺伝子座において転写が強く活性化する際には、ゲノム上で近傍に存在する遺伝子や遺伝子間領域でも転写が起こりやすい、という正の相関関係)」のメカニズム解明と普遍性の探求を行った。特に、この現象とインスレータータンパク質との関連を調べるため、文献的によく使用されている抗体を用いてChIP-chip実験を行ったが、一貫性のあるデータを取得することはできなかった。そこで、波及効果が観察される領域のDNA配列を、ゲノム上の他の領域に移植し、人工的に波及効果を起こす試みを開始した。また、公共データベースからマイクロアレイデータを取得し、転写の波及効果に似た現象が見られるか解析した。その結果、出芽酵母のG1期開始時における遺伝子発現データにおいて、同様の波及効果が観察された。その他のマイクロアレイデータにおいてもそれらしい現象が見受けられたが、データ量が十分でなかったりより詳しい検証実験が困難であったため、自分達で新規の実験系立ち上げを開始した。
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