2009 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌における細胞間接着因子カドヘリンの本質的な役割と新規抗癌剤としての可能性
Project/Area Number |
21870026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野間 和広 Okayama University, 大学病院, 医員 (10534761)
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Keywords | 食道癌 / 扁平上皮癌 / Barrett食道癌 / E-cadherin / N-cadherin / Cadherin switch / 分子標的治療 / EMT |
Research Abstract |
本研究においては、食道癌細胞(Barrett食道癌、扁平上皮癌)の転移・接着・浸潤に強く関与するcadherin familyの発現パターンを解析し、"Cadherin Switch"により発現するN-cadherinのTumor micrenvirnmentに対する重要性を、新規開発3次元モデルを用いて解明する。またN-cadherinの働きを阻害することにより1日来の細胞増殖抑制に主眼をおいた化学療法に全く新しいアプローチとしての分子標的治療法の開発を目指す。 本研究では2年間で以下の項目を検討することとした。 P-1 Barrett食道癌および食道扁平上皮癌の切除標本におけるcadherin発現パターンの検討 P-2 Barrett食道癌細胞株、扁平上皮癌細胞株におけるcadherin発現パターンの検討 P-3 食道癌のcadherinを介して間葉系細胞との相互作用(線維芽細胞、血管新生)の検討 P-4 E-、N-cadherinの発現制御または機能阻害を用いた腫瘍増殖抑制効果の検討 P-5 N-cadherin阻害剤を用いた新規集学的治療法の確立 そこで昨年度平成21年度においては、主に上記プロジェクトP-1, P-2について検討を行った。 Barrett食道癌および食道扁平上皮癌の切除標本におけるcadherin発現パターンをE-cadherinおよびN-cadherinの免疫染色にて確認した。10例中3例の症例においてN-cadherinの発現を認め、粘膜下層への浸潤のある症例においては特に腫瘍先端部位での発現の傾向を認めた。しかしながらE-cadherinの発現の減少は認めなかった。また食道癌細胞株においては、TE4、TE10の2種類の扁平上皮癌細胞にN-cadherinの発現を認めた。Collagen 1およびTGFにて刺激すると発現の増加は認められたが、元々発現のない細胞株においては発現をとらえることができなかった。しかしながら、刺激された細胞は形態的に変化を認めEMTを誘導されている可能性があると考えられた。 今後としては、P-3以下のプロジェクトを進める予定である。まず間葉系細胞との相互作用を確認しさらに、cadherinの発現パターンを制御する事で抗腫瘍効果があるか検討する予定である。
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