2009 Fiscal Year Annual Research Report
河口干潟における炭素循環に関する研究:陸域・海域起源有機物の動態の定量的解析
Project/Area Number |
21870028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 晶子 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (10535470)
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Keywords | 河口干潟 / 炭素循環 / 有機物動態 / バイオマーカー |
Research Abstract |
河口干潟では、現地の藻類によって生産される有機物だけでなく河川を介した陸域由来有機物の供給があるとともに、それらを多様な生物が活発に利用しており、沿岸域における有機物負荷緩衝の場として注目されている。様々な環境条件が短期間でダイナミックに変動する河口干潟では、有機物の供給源や量、それらの生物による利用状況も季節的に大きく変動していることが予想される。有機物の起源すなわち質の違いは環境中での動態に影響を与える重要な要因であり、物質循環のメカニズムを解明するためにはそれらを考慮した定量的な解析が必要である。 初年度は活発な摂食活動を行うことで知られているスナガニ類を対象として、その摂食活動が河口干潟の炭素循環に与える影響を定量的に評価するとともに、バイオマーカーを用いてスナガニ類が利する餌資源について調べた。その結果、スナガニ類が活発に活動する夏季には、摂食による一時的な炭素濾し取り量(同化量、無機化量ではない)がこれまでに報告されている微生物による無機化量に匹敵することを明らかにした。またほとんど活動しないと考えられていた冬季にも、低頻度ではあるものの夏季の1/3程度の摂食活動を確認した。以上のことからスナガニ類が摂食活動を介して河口干潟の有機物負荷緩衝能の一端を担っている可能性が示唆された。さらに、餌資源についての検討の結果、夏季・冬季ともに、スナガニ類がバクテリアを餌資源として利用していることを明らかにした。以上の成果は第57回日本生態学会全国大会(2010年3月、東京)にて発表した。
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Research Products
(2 results)