2009 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫寄生菌の亜致死性効果を利用したマラリア媒介蚊の新防除技術開発に向けた基礎研究
Project/Area Number |
21880004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
相内 大吾 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 助教 (50552783)
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Keywords | マラリア / 生物防除 / 昆虫寄生性アナモルフ菌類 / 蚊 / ブルキナファソ / Lecanicillium / Beauveria / Isaria |
Research Abstract |
感染症媒介蚊の防除は化学殺虫剤を中心に実施されているが、各種殺虫剤に対する著しい抵抗性の発達が報告されており、新たな防除法の開発が急務となっている。その候補として、昆虫寄生性アナモルフ菌類を用いた生物学的防除法が挙げられているが、基礎的な知見において蚊類成虫がどのような昆虫寄生性アナモルフ菌類を保持しているのかは分かっていない。本研究では感染症媒介蚊の微生物防除研究の足がかりとなる蚊類寄生菌の菌株ライブラリの構築を見据え、まず十勝管内において採集した蚊類から選択培地を用いて昆虫寄生菌の分離を試みた。現在までにAedes spp.を主体とする741頭の蚊類から得られた2579菌株中、117菌株の昆虫寄生菌の同定に成功している。その内訳は、Beauveria spp.やIsaria spp.、Lecanicillium spp.など主要な昆虫寄生性アナモルフ菌類から構成されている。さらにこれらに加えて線虫寄生性アナモルフ菌類として知られるPochonia属菌やSimplicillium属菌なども分離されている。また、これらの結果を踏まえてマラリア激発地帯であり、菌類の生育に不利な高温・乾燥地帯である西アフリカのブルキナファソにおいて採集したAnopheles gambiase1652頭からも菌の分離を試み、合計13080菌株を得た。その内、78菌株が昆虫寄生菌のLecanicillium spp.、27菌株が線虫寄生菌のP.suchlasporiaであることが明らかとなった。以上の結果から少なくとも野生の蚊類成虫は、昆虫寄生性アナモルフ菌類を保有しているが、アフリカの蚊類虫体の昆虫寄生菌相は日本のものに比べその種数・保有頻度が低いことが明らかとなった。現時点で蚊類由来に特化した菌株ライブラリは合計で266菌株を数え、今後これらの感染性・病原性に関し調査を進める。
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Research Products
(1 results)