2010 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫寄生菌の亜致死性効果を利用したマラリア媒介蚊の新防除技術開発に向けた基礎研究
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21880004
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Research Institution | 国立大学法人帯広畜産大学 |
Principal Investigator |
相内 大吾 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教 (50552783)
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Keywords | 昆虫寄生性アナモルフ菌類 / 生物学的防除 / 感染症媒介蚊 / 亜致死性効果 |
Research Abstract |
ハマダラカ属をターゲットとする蚊由来の昆虫寄生性アナモルフ菌類に特化した菌株ライブラリを構築し、病原性および感染性に関する菌株仕分けを実施することで亜致死性効果を利用した感染症媒介蚊防除技術開発に向けた研究基盤を創出することを目的として研究を展開した。野生の蚊類成虫より昆虫寄生性アナモルフ菌類の分離を試み、これまで蚊類からの分離が記載されているLecanicillium属菌やBeauveria属菌、Isaria属菌などの主要昆虫寄生菌に加えLecanicillium alaneicolaやSimplicillium lamelicolaなどこれまで蚊類を宿主として報告されていない多くの昆虫寄生菌を検出した。最終的に、合計392菌株の昆虫寄生性アナモルフ菌類を超低温状態で収蔵する菌株ライブラリを構築するに至った。また、分生子懸濁液を滴下した濾紙を用い、蚊類〓節に対し局所的かつ微量の菌接種を可能にするアッセイ系を確立し、本試験に運用した。これらライブラリの菌株についてAnopheles stephensiに対する感染性を評価したところ、Lecanicillium属菌、Beauveria属菌、Isaria属菌、Paecilomyces属菌の13菌株がAn.stephensi体内から検出され、感染性を有することが明らかとなった。さらに、感染性を有する菌株の内、Lecanicillium属菌2菌株とBeauveria属菌3菌株が対照区と比べ有意に短い半数致死日数を示した。特にBeauveria属菌1菌株は半数致死日数が対照区の15.2日に対し、6.7日と半数以下の短さとなった。一方、Lecanicillium属菌1菌株は感染性を有するものの、病原性を示さない(不顕性感染性)もしくは弱病原性の菌株であることが明らかとなった。今後、これら感染性・病原性に関する特性が明らかとなった菌株を足がかりに、蚊類の新防除技術開発に向け研究を推進する。
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Research Products
(4 results)