2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ黄体形成における血管新生制御機構;VEGF-Vasohibinによる局所調節
Project/Area Number |
21880006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
白砂 孔明 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 助教 (20552780)
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Keywords | 繁殖生理 / ウシ / 血管新生 / 黄体 |
Research Abstract |
血管新生は黄体形成において必須の現象である。新規の血管新生抑制因子Vasohibin (Vh)に着目し、ウシ黄体でVhの血管新生ネガティブフィードバック調節を抑制すれば、血管新生が活発で構造的・機能的に充実した黄体を作出できるという仮説のもとで研究を進める。【方法】実験1:食肉処理場由来のウシ卵巣から初期(days3-5)、中期(days8-10)、後期(days13-15)、退行期(days18以降)の黄体を採取し、VEGF及びVhのmRNAとタンパク発現を測定した。実験2:初期黄体及び中期黄体から血管内皮細胞(EC)を単離し、残った細胞分画を黄体細胞(LC)とした。各細胞にVEGF(1、10、50、100ng/ml)またはVh(1、10、100、250ng/ml)を添加し,24時間後に細胞を回収した。【結果】実験1:VEGF mRNA発現は黄体期初期、中期及び後期に比べ、退行期に減少した。Vh mRNA発現は、黄体期初期に比べて中期に増加し、後期及び退行期に減少する傾向がみられた。VEGF及びVhタンパク発現は黄体期初期、中期及び後期に比べ、退行期において減少した。実験2:黄体期初期及び中期由来のECではVh mRNAが発現していたが、LCではほとんど発現していなかった。一方、VEGF mRNAはすべての細胞で発現していた。VEGF添加区において、初期黄体由来ECではVh mRNA発現が有意に増加したが、中期黄体由来ECでは発現に変化はなかった。Vh添加区においてはどの細胞でもVEGF mRNA発現は変化しなかった。【結論】ウシ黄体にはVEGF-Vasohibinシステムが存在すると考えられた。初期黄体由来血管内皮細胞においてVEGFによりVasohibin mRNA発現が刺激されたことから、血管新生が盛んな初期黄体では、VEGFが血管新生を促進すると同時に、Vasohibin発現を誘導する血管新生抑制機構を制御することで、血管新生が過剰に起こるのを防ぐ役割を果たしている可能性が考えられた。
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