2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ黄体形成における血管新生制御機構;VEGF-Vasohibinによる局所調節
Project/Area Number |
21880006
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
白砂 孔明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (20552780)
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Keywords | 繁殖生理 / ウシ / 血管新生 / 黄体 |
Research Abstract |
血管新生は黄体形成において必須の現象である。新規の血管新生抑制因子Vasohibin(vh)に着目し、ウシ黄体でVhの血管新生ネガティブフィードバック調節を抑制すれば、血管新生が活発で構造的・機能的に充実した黄体を作出できるという仮説のもとで研究を進めた。【方法】実験1:食肉処理場由来のウシ卵巣から初期(days3-5)、中期(days8-10)、後期(day813-15)、退行期(days18以降)の黄体を採取し、VEGF及びVhのmRNAとタンパク発現を測定した。実験2:ウシ黄体から単離した血管内皮細胞(EC)にVEGFまたはVhリコンビナントタンパク質を添加し、in vitro 3次元血管新生モデルを用いてECの管腔形成への影響を検証した。【結果】実験1:VEGF mRNA発現は黄体期初期、中期及び後期に比べ、退行期に減少した。Vh mRNA発現は、黄体期初期に比べて中期に増加し、後期及び退行期に減少する傾向がみられた。VEGF及びVhタンパク発現は黄体期初期、中期及び後期に比べ、退行期において減少した。実験2:VEGFを添加することで、対照区に比べてECの管腔形成が有意に増加した。Vasohibinを単独で添加しても管腔形成に影響はなかったが、VEGFとVasohibinを同時に添加すると、VasohibinはVEGFで刺激した管腔形成を完全に抑制した。【結論】ウシ黄体にはVEGF-Vasohibinシステムが存在すると考えられた。また、VasohibinはVEGFで刺激された血管新生を抑制的に制御することが示された。血管新生が盛んな初期黄体では、VEGFが血管新生を促進すると同時に、Vasohibin発現を誘導する血管新生抑制機構を制御することで、血管新生が過剰に起こるのを防ぐ役割を果たしている可能性が考えられた。
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