2009 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的TR抗原探索法の応用によるトリパノソーマ症簡易血清診断法開発に関する研究
Project/Area Number |
21880007
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
後藤 康之 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 助教 (50553434)
|
Keywords | トリパノソーマ症 / 血清学的診断 / 抗原 / タンデムリピート |
Research Abstract |
人獣共通感染症としてヒトと家畜に多大な被害を与えているアフリカトリパノソーマ症の確定診断は未だ顕微鏡検査による原虫直接検出に依存している。しかし検出感度は低く、検査に要する時間と労力も無視できない。したがって簡便かつ特異的で確定診断にも利用可能な血清診断用原虫抗原の同定が急務である。アミノ酸の繰返し配列をもつタンパク質、Tandem Repeat(TR)タンパクは過去に数々の病原体から抗原として同定されており、そのことからTRタンパクは概して免疫原性が高いと考えられていたが、これまでに体系的な研究は行われていなかった。研究代表者はこのことに注目して、病原体ゲノムからTRタンパクをコードする遺伝子を探索することで免疫原性の高い新規抗原を同定できると考えこれまでに2種の原虫感染症(リーシュマニア症、シャーガス病)によってその有用性を証明してきた。本研究ではアフリカトリパノソーマ症の原因病原体の一つであるTrypanosoma bruceiのゲノムからTR遺伝子を探索し、そのうち上位候補(10個程度)の大腸菌組換え体を作製し、そしてそれらの抗原性をトリパノソーマ原虫感染動物(ウシやウマ等)から採取された血清を用いたELISAによって試験した。結果として,それら過去に未同定であったT.brucei由来TRタンパクのほとんどが強い抗原性を有することが確認され、他の原虫種と同じくアフリカトリパノソーマ原虫においてもTRタンパクの抗原性は高いこと、そしてTR検索に基づいたコンピュータ解析による抗原探索が有用であることが示された。
|
Research Products
(1 results)