2010 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的TR抗原探索法の応用によるトリパノソーマ症簡易血清診断法開発に関する研究
Project/Area Number |
21880007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 康之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50553434)
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Keywords | トリパノソーマ症 / 血清学的診断 / 抗原 / タンデムリピート |
Research Abstract |
我々は、寄生虫感染症の診断法やワクチンの開発に有望な抗原の探索手法として、Tandem Repeat(TR)遺伝子探索というin silico手法を開発してきた。昨年度は本手法をアフリカトリパノソーマ症に応用して、原因病原体(Trypanosoma brucei,T.congolense)ゲノムからTR遺伝子を探索した。本年度はそのうち新規抗原14個を含む上位候補20個の大腸菌組換え体を作製し、そしてそれらの抗原性をトリパノソーマ原虫感染牛から採取された血清を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)によって試験した。結果、試験した新規抗原の半数にあたる7個の抗原が感染牛に高い抗体を検出することに成功した。これら新規抗原のうちTbg4やTbg6などは既知の抗原よりも高い有用性を示した。これらの結果は本in silico手法がアフリカトリパノソーマ症の診断用抗原を同定するのにも有用であることを示唆している。抗原の組み合わせによってはさらに感度を高めることが可能であることも示唆されており、本研究で同定した新規抗原がこれまでなされてこなかった組換え抗原を用いた診断テストの開発に向けて大きく貢献すると考えられる。本手法を利用した抗原探索法はこれまでに試験したすべての病原体において有用であることから、今後はゲノム情報の有効活用法として幅広い病原体・感染症への応用が期待される。
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Research Products
(3 results)