2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容誘導因子Gpnmbの発現抑制による犬悪性黒色腫の新規免疫療法に関する研究
Project/Area Number |
21880008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
富張 瑞樹 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 助教 (00552754)
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Keywords | 獣医学 / 腫瘍 / 悪性黒色腫 / 免疫療法 / 生体分子 / 犬 |
Research Abstract |
犬の悪性黒色腫は口腔内腫瘍の中で最も発生頻度が高い悪性腫瘍であり、高い転移率と低い従来の治療法への反応性から罹患動物の予後は悪いことが多い。そのため、本腫瘍に対する新たな治療として、本腫瘍細胞の免疫原性が高いことを利用した免疫療法の開発が試みられている。しかしながら、本腫瘍に対する免疫療法の奏効率は決して高くはなく、その原因には本腫瘍細胞の免疫寛容誘導能が関与しているものと考えられている。そこで本研究では、私がマウスの悪性黒色腫細胞株に顕著に発現し免疫寛容を誘導することを示したGpnmb(Glycoprotein nmb)蛋白質に注目し、犬の悪性黒色腫におけるGpnmb蛋白質を介した新たな免疫寛容機構を明らかにすることで、より奏効率の高い免疫療法を確立することを目的としている。 平成21年度では、まず犬Gpnmbの遺伝子配列を明らかにするとともに、Gpnmb蛋白質に対する抗体を作製した。これによって、犬GpnmbのmRNAレベル、ならびに蛋白質レベルにおける発現動態を解析することが可能となった。また、これらの系により犬悪性黒色腫細胞株においてGpnmbが発現していることが確認された。 本研究の最大の特色は、腫瘍特異的な細胞障害性免疫細胞を誘導しようという従来の研究と異なら、腫瘍細胞側が有する免疫寛容因子Gpnmbの働きを遮断することによって、新たな免疫療法の開発を目指している点である。平成22年度では、悪性黒色腫自然発症犬における腫瘍細胞のGpnmb蛋白質の発現状況を解析するとともに、Gpnmb蛋白質の免疫寛容誘導能について詳細な検討を行う予定である。
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