2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工膜小胞への再構成系を用いたスペルミジン排出輸送体の基質輸送メカニズムの解析
Project/Area Number |
21880011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
七谷 圭 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (00547333)
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Keywords | ポリアミン / 浸透圧ストレス / 原核生物 / トランスポーター / プロテオリポソーム / 動的構造変化 / 単分子FRET / アルギニン脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
ポリアミンは、ほぼすべての生物に存在しており、細胞分裂やDNAの複製、タンパク質の合成促進などの細胞内の過程や、各種ストレス適応などにおいて重要な役割を果たしている。ポリアミンは、このように生物の存在に必須である一方、過剰に存在すると生育を阻害するため、細胞内のポリアミン濃度は厳密に調節されており、その調節機構を理解することは重要である。本課題研究では、原核生物の浸透圧ストレス適応とポリアミンの関わりについて、ポリアミン排出輸送体を中心に理解することを目的とした。本年度は、大腸菌からポリアミン排出輸送体(MdtJ,MdtI)をコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌を宿主とした膜蛋白質発現用プラスミドpTrc99Aによる発現系・精製系の構築を行った。また、MdtJ,MdtIはポリアミン排出時にダイナミックな構造変化を伴うと推定されている。そこで、動的な構造変化をリアルタイムで観察するため、リポソーム上の輸送体一分子内で起こるFRETの計測技術の開発に着手した。さらに、ラン藻におけるポリアミン生合成経路の解明に向け、アルギニン脱炭酸酵素(ADC1,ADC2)の破壊株を作製し、高浸透圧培地における生育を観察した。その結果、ADC2の破壊株は高浸透圧培地での生育が著しく悪くなり、ポリアミンの培地への添加によって生育は復帰した。従って、ラン藻における浸透圧適応にはADC2によるポリアミン生合成が必須である可能性が示唆された。
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