Research Abstract |
本研究では,灌漑主体水田地区に適用可能な配水モデルを構築することによって,これまで評価することが困難であった用水の配分や還元を再現することを目的としている. 平成21年度は,研究費の交付時(9月)に既に水田の灌漑時期が終了していたため,当初の計画どおり,集中的な現地調査・観測によって灌漑水田地域内での水田の代掻き,植え付け,刈り取りの進行調査を実施した.ただし,当初計画していた中干しの実態把握については,その時期に田面の状況を判断することが極めて困難であったため,実施を断念した.なお,中干し時期については,平成22年度に観測する水位連続観測から別途判断することで対応する.また,必要に応じて,農家への聞き取り調査を実施する. また,平成21年度では,本研究の重要課題の一つである用水配分量を把握するため,対象水田地区内約40ヵ所において週1回程度の集中流量観測を実施し,地区内の地点ごとの配水量変化を連続的に把握することができた(灌濯漑期間中に計16回観測).この観測結果に基づいて,平成22年度には自記水位計を設置し,各地区への配水量を連続的に把握する. さらに,本課題で開発されるモデルの将来的な発展を目指して,エジプト国ナイルデルタ地域に4ヶ月間滞在し,現地の用水配分実態,ならびに,現地の用水管理について現地研究者と検討した. 平成22年1月からは,各調査結果をもとにモデルの構築に着手している.既に,モデルの基礎情報であるGISデータ(国土数値情報,日本水上図鑑GIS)は入手済みであるが,モデルの構築,計算,検証には入力値である地域への供給水量とモデルの検証に用いる地区からの排水量が必要である.これらの観測は平成22年4月下旬から観測を実施するため,現在,その準備を進めている.
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