2010 Fiscal Year Annual Research Report
石油の分解により天然ガスを生産する油田内部の新規微生物共生システムの分子基盤
Project/Area Number |
21880014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 肇 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (50549269)
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Keywords | 油田 / 地下微生物 / メタン菌 / 石油 / メタン |
Research Abstract |
秋田県内の油田由来の油層水サンプルを、地下貯留層内と同様の高温・高圧の環境を模擬するために高圧培養容器を使用して培養実験を行った。その結果、地下貯留層内の環境を模擬した実験条件下でも、微生物群が油層水中に含まれる酢酸を消費し、メタンを生産する事が示された。 さらに、地下微生物によるメタン生産の速度を産業利用可能なレベルまで上昇させる手段として、栄養分の添加による地下微生物の代謝賦活化を試みた。油田から採取した油層水サンプルに複合栄養分である酵母エキスを添加し、さらに原油生分解の反応賦活化の可能性を量るため原油やアルカン混合物を加え、メタン生産への影響を解析した。 栄養分を添加した培養サンプルでは、栄養分を添加していない培養サンプルと比べ、メタン生成量が著しく大きくなった。さらに栄養分を添加した培養サンプル同士の比較において、原油やアルカン混合物を添加したサンプルでは、油成分を添加していないサンプルに比べ、より活発なメタン生産が観察された。この結果から、添加した栄養分が、天然の油層水中に不足している栄養素を補って、地下微生物のメタン生産や原油生分解に関わる代謝を賦活化した事が示唆された。 さらに、これら栄養分を添加した培養サンプルにおけるメタン生産賦活化の微生物的背景を知るために、培養サンプル内に存在する微生物種を決定した。検出されたメタン菌種は全て水素資化性メタン菌種であった。また、油成分を添加した培養サンプル中からメタン菌と共生することが知られている細菌種が検出され、原油生分解への関与が示唆された。
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Research Products
(6 results)