2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネオクリンの味覚修飾機能の分子機構解明のための構造生物学的・タンパク質工学的解析
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21880015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 健一朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助数 (70554492)
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Keywords | 味覚修飾活性 / ヒスチジン / NMR |
Research Abstract |
ネオクリンはそれ自身が弱く甘いうえ、酸性条件下で強い甘味を呈する活性(味覚修飾活性)をもつ西マレーシア原産の果実に含まれるタンパク質で、酸性サブユニットと塩基性サブユニットのヘテロ2量体から構成される。これまでの研究から、ネオクリンに存在する5つのヒスチジン残基すべてをアラニンに置換した変異体は味覚修飾活性を失い、中性条件でも強い甘味を呈することがわかっていた。しかし、どの残基が味覚修飾活性に特に重要かは不明であった。また、pH変化に伴ってネオクリンの構造変化が生じる可能性も考えられた。そこで、本研究ではネオクリン変異体を用いて活性に重要な残基の特定を行うとともに、ネオクリンの立体構造変化をNMRにより解析した。各ヒスチジン残基をアラニンに置換したネオクリン点変異体を大腸菌発現系により生産し、リフォールディングを行うことで活性を有するヘテロ2量体を得た。その活性を官能試験および甘味受容体を導入した培養細胞系により評価したところ、塩基性サブユニットにある11番目のヒスチジン残基の変異を導入することで、味覚修飾活性が消失することが判明した。そこで、ネオクリンのpH依存的な活性の変化がその構造変化を伴うかどうかNMRにより解析した。ネオクリンの一方のサブユニットのみを<15>^Nおよび<13>^C/<15>^N安定同位体標識したタンパク質を取得し、NMRを測定した。pH3において主鎖の化学シフトを帰属後、pH3~pH7までにおける1^H-<15>^N相関スペクトルを測定し、pH依存的な化学シフト変化の有無を解析したところ、pHの変化によって化学シフトが徐々に変化するだけでなく、pH7では新たなシグナルが観測された。このシグナルは甘味の強い酸性では見られず、甘味の弱い中性で観測されるもので、甘味活性と関係していると考えられる。以上より、pH変化に伴ってネオクリンの構造・活性が変化することが示唆された。
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Research Products
(4 results)