2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物研究におけるリアルタイムRIイメージング装置の開発
Project/Area Number |
21880018
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山脇 正人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (30526471)
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Keywords | 農業環境工学 / 放射線計測 / 植物 / ラジオアイソトープ / イメージング / イオン動態 / シンチレータ |
Research Abstract |
現在の農業現場では水や養分元素の供給に関する科学的な知見が乏しく、過剰な施肥が行われることがある。このため、環境中に肥料が流出し、近年では環境問題にも発展してきている。そこで最適な養分供給を検討することにより農業における生産性の向上、延いては環境保全を考えていくために、本研究課題では植物が養分を根から吸収しどの様に伝達するかを観察する、放射線同位元素を用いたイメージング装置の開発を行っている。 初年度の研究成果により、植物に光を照射した状態で観測出来るシステムを開発し、タイマーで制御することにより日周サイクルなども再現することが出来るようになった。そこでリンの放射性同位元素<32>^Pを用い、日夜での養分吸収サイクルを観察したところ、地上部(葉・茎等)では日中でリンの吸収が促進される一方、地下部(根)では夜間に蓄積が増加することが観察された。この現象は地下部での蓄積と日中での地上部への輸送か関係していることが考えられたため、この現象を伝達関数で表現することにより、植物の養分吸収メカニズムを評価する為の一つの手法として提案した。本研究成果は、米国論文誌Radiochimica ACTAに投稿しアクセプトされ、論文掲載される予定である。 また、これまで^<32>Pβ線放出核種を用いたイメージングを中心に行ってきたが、様々な核種評価として^<109>Cdのイメージングを試み、^<109>CdのX線の観察に成功し、X線のエネルギーとシンチレータ厚に対する検出感度や解像度を計算及びシミュレーションにより評価した。この成果により2010年7月7日に行われた"アイソトープ・放射線研究発表会"においてRADAIISOTOPES誌論文奨励賞を授与された。 今後の研究展開としては、様々な核種イメージングへ応用し、例えば近年原発事故で話題となっているヨウ素等における植物の養分吸収・蓄積等についても評価していきたいと考えている。
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