2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21880023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 晃規 Kyoto University, 微生物科学寄附研究部門, 助教 (10537765)
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Keywords | 脂質漏出性糸状菌 / Mortierella alpina / 高度不飽和脂肪酸 / Agrobacterium tumefaciens |
Research Abstract |
変異株V6株の漏出した油滴小胞膜の脂質成分のうち、極性脂質の主要成分であったセレブロシド様脂質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLCを用いて精製し、3種の分子種を得た。この内一つはGLC及びGC-MSの分析結果から、ステロールにグルコースが結合したステロール配糖体であると考えられた。残りの2種をGLC、GC-MS、MALDI-TOF-MSによる質量分析及びNMR分析の結果から、グルコース、炭素数14、15、16の2-ヒドロキシ飽和脂肪酸、9位にメチル基、4位と8位に二重結合を持つスフィンガジエニン型長鎖塩基から構成されるセレブロシド、および、グルコース、炭素数14、15、16の2-ヒドロキシ飽和脂肪酸、炭素数19で、2つの二重結合と2つの水酸基を持つヒドロキシスフィンガジエニン型長鎖塩基から構成されるセレブロシドであると推定した。今後、これらセレブロシドの機能性を評価する予定である。また、一方でM. alpina 1S-4を変異処理し、コロニーの表面が油滴小泡で覆われた変異株を選抜した結果、新たにV6株よりも菌体外脂質生産量の多いYM19株や、脂肪酸組成の異なる油脂を漏出する変異株を見いだした。顕微鏡観察下において、YM19やV6株は菌糸先端部が膨らみ溶菌する表現型を示したことから、漏出を誘発する変異と細胞壁合成との問に何らかの関係があることが予想された。そこで平板培地成分の検討を行い菌糸形態および脂質漏出への影響を検討した結果、浸透圧安定化剤、細胞壁合成前駆体、ならびにある種の抗生物質の添加にて脂質の漏出が抑制され、親株様の菌糸形態の復帰を確認した。このことより、脂質の漏出の顕在化には、細胞壁の脆弱性と旺盛な生育が必要であることが示された。今後M. alpina 1S-4の遺伝子破壊系を確立し、漏出機構に関与する遺伝子の特定、漏出の制御に取り組む。
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